« NHKは死に続けている | Main | 一つのアンチノミー »

2007年02月21日

(続)「おこづかい帳」

Notes

おこづかい帳」で書いた残りみたいなもの。

(A)小沢氏が事務所費計上問題で詳細を明らかにした上で、現役閣僚の事務所費問題の追及に乗り出すと。それ自体は戦略としては正しいだろう。個人的な見解を言わせてもらえば、この問題では圧倒的に不利なのは自民党だからだ。

まずポイントとしては小沢氏の行為は違法ではないというところが大きい。政治団体が政治資金で不動産を購入することも、それを全額経費として計上することも何ら、法的には問題ないのだから。

一方伊吹文科相の架空の事務所費計上は、小沢氏と違って違法性が極めて強いということである。支出してもいないのに費用計上したり、或いは明らかに事務所費に計上すべきでない支出を、事務所費として計上して、使途不明にすることは政治資金規正法の趣旨に真っ向から反するものだ。佐田元行革相が、ありもしない事務所の賃貸契約をでっち上げて使途不明金を作ったのと同様に。

(B)もちろん、小沢氏の合法的な「テクニック」に「国民感情」として納得出来ないという人は多いかもしれない。なぜあのようなことが認められるのかと。

残念ながら、政治資金規正法というのは改正に改正を重ねてきたけれども、それでこの程度の代物でしかなかったということだ。だけれども、そもそも政治資金規正法の改革に最も抵抗してきたのは自民党では無かっただろうか。

僕が聞いた話では、以前は(1)ある人に「架空」の寄附を頼む。(2)実際にお金が振り込まれてはいないのに政治団体は寄附を受けたことについて寄附者に対して領収書を発行する。(3)確定申告時、寄附者はその領収書を添付して寄附控除を受ける。(4)その後還付金が寄附者に戻ってくる。(5)その還付金を政治団体に渡す。

というれっきとした「公金詐欺」さえも行われていたようだ。というか、もしかしたら今でもやっているところはあるかもしれない。政治資金は非課税なので税務調査も入らないし、前も書いたように収支報告においても口座記録との照合もされることが無いから、真相は常に藪の中となる。要するに政治資金は「天下のザル法」の下に野放しにされているわけだ。で、誰がそういう状況を作ってきたかというと、繰り返しになるが自民党である。彼らは度重なる改正機運においても、常に最終的に微温的な改正に留めてきたのだ。

ぶっちゃけた話、政治団体による不動産購入なんていう「蓄財テクニック」にはおそらくは古くから自民党にいる議員の多くが手を染めているだろうし、先ほど言ったような「公金詐欺」のケースすらあるかもしれない(さらに僕が知っているよりももっと巧妙な詐欺まがいのテクニックを使っているかもしれない)。「政治団体が不動産を購入してよいのか」などと自民党の新人議員が小沢氏を批判していたけれども、そんなことを言い出してしまえば自民党はより多くの返り血を浴びてしまう可能性が相当に大きいわけで、あれは自民党のベテラン議員にとっては痛し痒しな方向なのではないか。

小沢氏が自分の事務所費の詳細を徹底的に明らかにした上で、閣僚を含め自民党の幹部全てに同じレベルの情報公開を要求したら、世襲議員やベテランの「政治屋」が多い自民党には頭の痛い問題になるだろう。おそらく彼らは「どっちもどっち」→「野暮なことは言いっこなしに」みたいな流れに持っていこうとするのではないか。

まあ、小沢氏の方も本気で「バンザイアタック」を仕掛けて「政治とカネ」の問題を焦点化する気があるのか、僕は今のところ少し懐疑的であるわけですが。いずれにせよ、凡庸な結論ではあるけれども、僕たちに出来ることは、これを機に政治資金を巡る不透明さが一掃されるように、きちんとモニタリングするということに尽きる。その際重要なことは、多少野党側からも「血が流れる」可能性はあるけれども、それをもって「どっちもどっち」の政治ショーに矮小化・「うやむや化」させないようにすることだろう(年金の議論はまさにそれであった)。

(C)「政治資金を不動産購入費用に当ててよいか」という問題と「政治資金にまつわる不透明さの是正」とは似ているようでやはり位相の異なる問題である。小沢氏の場合は購入したこと自体はきちんと報告されているわけで、それが政治活動として妥当なのかどうか、つまり「政治活動とは何か」が焦点になっている。「不動産購入の是非」という個別論点に留まらせること無く、「政治活動」の「そもそも論」が焦点になることは、歓迎すべき流れだと思う。「そもそも論」にある一定の枠組みを与えられれば、個別論点の是非についてもある程度までは合理的に判断することが可能になるだろう。

(追記)
自民党幹事長のコメントには彼なりの「必死さ」がよく表れている。簡単に指摘しておくと、政治資金規正法は、「第一義的」に政治資金の流れの「透明性」を確保する為のものであって、「使い道」については殆ど制約していない。従って、伊吹や松岡や中川が、何でもかんでも事務所費に計上して政治資金の使い道を不透明にさせていることの方が根本的な問題。というか、違法。

そもそも使い道が「不透明」であれば、その使い道の妥当性など問いようがない(分からない)のだから、まず透明性を確保することが肝心だ、ということで作られたのが政治資金規正法。政治資金の使い道を焦点化したいのなら、それはそれで構わないのだが、だとしても伊吹たちは「スタートラインにも立てていない」=問題外なわけだ。「すり替え」を行っているのは果たしてどちらだろうか?

「小沢と違って、自民党の議員たちの金の使い道は妥当だ」というなら、率先して領収書を見せれば済む話である。その程度のことすら出来ずに逃げ回ってきておいて、偉そうにご託宣を垂れるとは笑止千万。まさに「顔を洗って出直してこい」と言いたくなるコメント。

ちなみに政治資金の使い道の妥当性を問う方向で議論が進めば、そもそもそれを一番嫌がってきた(今も嫌がっている)のは自民党の古い議員たちなのではないか?ということは本文に書いた通りなのでここでは繰り返さないでおく。

Trackback

Trackback URL for this entry:

http://deadletter.hmc5.com/blog/mt-deadlettertrackback.cgi/24

Post a comment

(CommentSpam対策などの為、管理人に承認されるまではコメントは表示されません。表示されるまでしばらくお待ちください。なおコメントマナーについてはこちらをお読みください。)