教育基本法改正案が衆院の特別委員会で強行採決されたようだ。一言で言えば非常に残念。
「現行法はアメリカから押し付けられたものであり(南原繁の言を聞く限りそうは思えないのだけれども)、正統性に瑕疵がある」と主張していたのは稲田議員だったっけか。「改正案を成立させるためなら、手段は(合法でありさえすれば)問わない」というのなら、現行法の正統性の瑕疵について、大口を叩けないんじゃないのか、というのは気のせいだろうか。
また、(世論調査等を見ても)国民の間に理解が広まってるとは決して言えないこと、改正に疑問を持つ人たちが少なくないこと、多くの現場の校長(公立の小中学校)が反対していること、を踏まえ、少なくとも立法事実(法を創造する場合の基礎を形成し、それを支えている事実)、つまり立法の必要性くらいは丁寧に立論すべきではなかったか。もちろんそれが出来るくらいならヤラセなどしなかったのだろうけど。
この法律は(1)現行憲法の掲げる価値観とは異質のものを含んでいるにもかかわらず(2)貧弱な立論と、(3)ヤラセ・買収による世論誘導と、(4)事実上「郵政民営化」というシングルイシューが問われただけの選挙で当選した議員が多数にものを言わせて(5)強行採決した、そういうものだ、ということを僕たちはこれからずっと記憶に留めておこう。法の制定過程の正統性という意味では、この法は、現行法にすら劣るものだと。
それにしても、だ。国家が個人の内面に手をつっこむ事を全否定するわけじゃないけど、少なくともそれはごくごく最小限のものに留めるべきだ(極論すれば無いに越したことはない)、という自由主義国家を標榜するなら当然の常識に、これだけ無理解でナイーブな政治家が多いことに、心底あきれ返る。「規範意識を育てる」というマジックワードを使えばなんでも許されると思ってるのだろうか。
安倍の言う「日本と同じ価値観を持つ国」というのは、どちらかと言えば北朝鮮とか中国とかロシアとか、そっちの方なんじゃないですかね。
(追記)
ちなみに。「いかに中身が素晴らしいものであっても、基本法である以上、制定過程にはこだわらざるをえない」と事あるごとにさももっともらしく言っていた人が、その舌の根も乾かぬうちに、教育における憲法とも呼ばれる教育基本法に関して、ヤラセ・買収によるプロパガンダと、数にものを言わせた「強行採決」を行ったということも、僕は記憶しておくことにする。
恥を知らない人間が、永田町の真ん中で規範意識を叫ぶ、僕らはそんな冗談みたいな世の中を生きているんだ。

