「華氏911」が公開されたようだ。僕はまだ観てはいないのだけれども、この映画は「フセイン政権と大量破壊兵器の関連性はない」といったことを主張しているらしい。しかし、映画の内容については「日本人としては既に知っている情報ばかり(新しい情報は何もない)」、「情報操作されてきたアメリカでは強烈なインパクトがあるだろう(日本ではそれほどでもない)」というような評価がされているのをよく見かける。
どうしてそのような評価が出てくるのかとてもいぶかしく思う。
例えば日本政府=小泉内閣は「フセイン政権と大量破壊兵器の関連性」を一度たりとも否定したことはない。ちなみにアメリカ政府は最近になって「フセイン政権がWMDを保有していなかったとしても、イラク攻撃は正当だった」という主張を少しづつし始めている。
けれども小泉純一郎はWMDについての「フセイン大統領が見つかっていないから、イラクにフセイン大統領が存在していなかったと言えますか」という国会答弁を、その後一語たりとも修正していない。
「イラクが大量破壊兵器を保有していなかったということは断定できないと思います、いまだに。…(中略)…私はいまだに、監視グループが捜査を続行していく必要があるという発言のとおり、日本政府としてもこの捜査を見守り、注視していく必要があると思っております。ないとは断定できる状況にあるとは思っておりません。」(2004年2月5日)
「(だまされたとは)全く思っていません。私はないとは断定できませんね。今でも私はあると思っていますよ」(2004年3月19日)
つまり、「華氏911」の内容は、少なくとも「WMDはいまだ探索中であり、無いとは断定できない」と主張する小泉内閣にとっては驚くべきもの、ということになる。小泉はWMDの問題を依然としてイラク攻撃の大義に掲げ続けているからだ。
「華氏911」が含む情報が多くの日本人にとって「既知・常識」のものであるという評論を行ったマスメディアは、何故小泉に「WMDとフセインは無関連ですよ」と教えてあげないのだろうか。
ああなるほど、こういうことか。「この国では一般市民の誰でも知っている外交上極めて重要な情報を、外交上の施策を決める政府だけが知らない」。そしてそれが「当然」の事として是認される国なわけだ。
(参考リンク)小泉メールマガジン87号

