10/30(Thu)「少年の人間性」
「暴走族は産廃以下」と少年審判で裁判官が発言したのを、当の少年の母親が「人間じゃないと言われた気がした」と反発した、という事件に少し考えさせられた。

その発言自体の適否についてはとりあえず置こう。僕が気になるのは、当の16才の少年がほとんど気にしていない(彼自身はその発言を既に忘れかけている)ことに、なぜ「母親」が反発しているのか、ということだ。

それは、その発言は「母親自身」に向けられたものだと母親が思っているから、発言は少年の人間性を否定したのではなく、「母親自身」の人間性を否定したと母親が感じたからじゃないか、と僕は思う。

殺人を犯したのも暴走族に属していたのも少年であって、母親ではない。従って普通、本気で「反発を覚える」ということはありえない。罵倒されたのは他人であって自分ではないからだ(現に暴走族は産廃以下だという発言に僕は何とも思わなかった)。

けれども、たぶん彼女は少年を「他人」、もっと言うならば「(自分を含め誰からも)独立した個人」として認めておらず、自分の保有物、或いは自分の分身である、程度にしか考えていない。だからこそ、少年に対する言葉が、彼を素通りして自分に向けられたと思い込むのだ。

だとするならば、実は少年の人間性を否定しているのは裁判官ではなく、寧ろ母親の方だ、と僕は思う。

母親は少年の怒りを代弁するふりをしているが、僕がその少年であれば全くの大きなお世話だと思うだろう。裁判官に何を言われたかくらいは理解できるし、不当に侮辱されたと感じたのならばそれを表明することも出来る。「代理人」は未成年者の判断ミスで法的に不利な立場に追い込まれないように補佐する義務はあるけれども(今回の発言に法的意味合いなどない)、彼の内面にまで立ち入る資格などない。「代わりに怒ってあげる(でも実は自分が怒っている)」ということが一個の人格に対するどれほどの侮辱かという真っ当な「感度」を、この母親は完全に失っている。

昨日から神保町で年一度の古本市が開かれている。今日覗いたら、平日にもかかわらず結構な賑わいでした(まあ年齢層は高かったけど)。ちなみに収穫はゼロ。
10/18(Sat)「道路公団のF/S」
最近巷の話題を独占している総裁解任騒動については特にコメントはありません。ただ道路公団の財務諸表については一つだけ。

公団が「公式の財務諸表」と言って出してきた「再調達原価」による資産評価に基いて作られた財務諸表、あれは個人的には9割方「粉飾」だと思います。

理由は二つ。

一つはこの国の会計で資産評価に「再調達原価」を用いる事は原則として認められていないから(原則は「取得原価」主義)。

もう一つは仮に例外的に「再調達原価」による資産評価を認めるとしたらそれは、その企業・組織のもつ財産状態を表すには「取得原価」によるよりも、「再調達原価」による評価の方が適切だ、という場合に限られるのだけれども、日本道路公団がそのケースだとは到底思えないから、だ。

「取得原価主義」は資産を「買ったときの値段」で評価するもの。このやり方の長所はそれが「客観的」であること(伝票・帳簿を見れば一目瞭然)、短所は激しいインフレ(デフレ)が起きると実際の時価との乖離がひどくなること。ちなみに現在は一応デフレだけれどもまだ緩やかなので、このデメリットは今それ程目くじらを立てるようなもんじゃない。

では問題の「再調達原価(主義)」とは何か。ややこしそうに聞こえるけど「今買えば(再調達すれば)いくらか」=「今売ればいくらか」、乱暴に言ってしまえば要するに「時価」評価をする、というお話。

長所・短所は「取得原価主義」の反対。激しい物価変動がある時でも適切な評価を行い得る代わりに、客観性は犠牲になる。

さて、では道路公団の資産評価に当たって一体どちらによれば適切に財産状態を表せるだろうか。

僕の結論は「取得原価」。理由は「道路」の「時価」を算定するのは不可能だから。

そもそも「時価」評価にはその評価対象資産について「市場」が成立していることが条件になる。誰も買い手のない絵画には時価によって値段はつけられない。それと同じでその組織にとっては有用だけれども、他の企業にとっては何の役にも立たない特注品の機械、そういったものの「時価」評価は無意味なのだ。では道路公団の主要な資産である「道路」に「時価」はありうるだろうか。

もちろん「NO」。「道路売買市場」がないどころか、「道路」はかつて一度も第三者に売られたことも買われたこともないからだ。 つまり道路公団は、原則を守らずに、しかもわざわざ、何の客観性の担保もされていない、より不適切な資産評価方法を選択したのだ。

このことから導かれるべき結論は二つだけ。財務諸表作成者がバカか、粉飾する意図があるか。まあどちらにしても余り歓迎すべき事態ではないことだけは確かだ。

それから最後にどうでも良いことを一つ。「昨日、ある高名な哲学者の先生にお会いいたしました。藤井さんと接する時でも、心に愛を持ちなさいと言われました。」と発言してしまう石原伸晃にはゲンナリ。そんな「不用意な」アドバイスをする人間が「高名な」哲学者であるはずがない、というのはさておくとしても、それを間に受けるとはナイーブにもほどってものがあるんじゃないか。

「ハコイリムスメ!」の第2回の視聴率は11%。どうやら危険水域に入って来た模様。お時間のある方、是非ご覧になって盛り上げてやって下さい。お願いします。
10/12(Sun)「追記」
昨日の日記に少し追記

最後にそれとは別に付け加えたいのは、武力行使反対派は例えイラクに大量破壊兵器が存在しようとも、武力攻撃には反対である、という論陣を張っていた、ということだ。

アメリカが今になって血眼で探しても大量破壊兵器が見つからないということで、イラク攻撃は間違っていた、としたり顔で言い出し始めたわけではない。そもそもイラク攻撃は間違いだ。そして今や「徹頭徹尾」、「最初から」間違いだった、反対派の感じているのはそういうことだ。

昨日の日記を書くにあたり「反戦日記」を読み返してみた。事態はウォーラーステインの全く予想通りに進んでいる。ブッシュはイラクの占領統治の失敗で、既に「短期決着」で得た「貯金」を使い果たしているように見える。けれどもこの「賭け」の本当の怖さはまさにこれから、それが「降りられない」というところにあるのだ。

2ちゃんねるのテレビドラマ板視聴率スレをチェックしたところ、「ハコイリムスメ!」の初回視聴率は13%。なんとも微妙な船出であります。うーむ。

10/11(Sat)「イラク攻撃の正当化は可能か」
久しぶりに「反戦日記」を。

今月の「論座」で村田晃嗣氏がイラクの大量破壊兵器未発見問題について、「イラクにこそ挙証責任があった」と述べ、このことでイラク攻撃を否定するのは誤りだという趣旨の文章を寄せている。それについての僕のコメントはただ一つだけだ。「だから何?」

そもそもイラクに挙証責任があることを否定していた国など一つもない。ただ「〜は存在しない」という証明は一般的に困難であり(だからこそ査察団が入った)、時間がかかる(だからこそ査察団は査察の継続を訴えた)。従って議論の焦点は「査察を続けるか続けないか」であり、「イラクに挙証責任があるかないか」では全くない。

アメリカやイギリスに求められたのは「(効果をあらわしつつあった)査察を打ち切らなければならないとする理由」だ。そして彼らがそこで示した証拠の全てが虚偽にまみれていた、そのことに対して今批判が集まっているのだ。アメリカにイラクの大量破壊兵器の証拠を示す責任などない、という村田氏の議論は悪質な論理のすり替えでしかない。

もう少し丁寧に言おう。アメリカやイギリスはあの時、「イラクはウランを輸入したのに明らかにしていない」とか、「45分以内にミサイル発射態勢に入ることが出来るのにそれを隠している」といった、つまりイラクには大量破壊兵器が存在するという事実があるのに、査察団に対してそれを正直に言わないイラクは信用できない、ということを主張した。「だからこそ査察はムダなのだ」と。

小泉の発言を引いても良い。「フセインが嘘をつき続ける以上アメリカの武力行使は仕方ない」という彼の発言はまさにそのロジックに沿ったものなのだ。

さらに言わせてもらおう。もしイラクが挙証責任を果たさないことがイラク攻撃の真の理由だったのならば、なぜイギリスやアメリカの国民の多くが今になって「ブレアやブッシュに騙された」という感覚を持つのだろうか。ブレアやブッシュが垂れ流した、フセインは脅威であり嘘つきだという根拠のないイメージ、それが査察の打ち切りと攻撃の正当化に用いられたからこそ、彼らは「騙された」と感じているのではないのだろうか。

結局、あのイラク侵攻を正当化する理由など何もない。僕は攻撃を支持した人たちの言い訳が出揃うのを丹念にチェックし続けてきたんだけど、ついにまともなものを目にすることは出来なかった。そしてそれを(怒りを通り越して)とてもかなしく思う。

(追記)
論座」を軽く読み返したら、「査察はアメリカ軍がイラクに駐留して、圧力をかけて初めて進展があった。査察続行というのなら駐留のための莫大なコストを誰が負担したというのか」というような記述を見つけた。

今となっては悪い冗談のような言い訳だ。アメリカは武力行使の後始末にそれ以上の犠牲と負担を強いられているのだから。けれどもそれ以上に「仮定を持ち出して」結論を否定すること自体間違っている。

村田氏は「コストを誰も負担しなかっただろう」という仮定に立っているが、もちろんこれについては逆に「誰かが負担をシェアしたかもしれない」という仮定に立つこともできる。事実ドイツやフランスから、「国連軍として自国の軍をイラクに駐留させる」という妥協案が示されたこともあった。問題はアメリカはその提案を歯牙にもかけなかったことだ。

本当に「査察のコスト」が問題であればアメリカは「コストの負担をせよ」とフランスやドイツに厳しく迫っただろう。そしてあれだけ強硬に査察の続行を主張していた両国はそれを断れなかったはずなのだ(もし断れば世界中の笑いものだ)。けれども事態は全く逆だった。フランス・ドイツの方から提案がなされ、アメリカがそれを蹴ったのだ。

もうこのへんでやめておこう。アメリカは初めから「攻撃ありき」だったのだ。武力攻撃支持派はアメリカやイギリスが主張していなかったことまで持ち出して、何とかこの攻撃の大義を救おうとしているのだけれども、僕にはその努力自体が非常に奇異に見える。
10/5(Sun)「秋のドラマ」
当分忙しいので、この秋のドラマは、

末っ子長男姉三人」(TBS) 
ハコイリムスメ!」(フジ)

の2つに一応絞りました。本当は「マンハッタンラブストーリー」も結構迷ったんだけど、これについては「末っ子…」がどうしようもなくつまらなかったら乗り換えるという感じでいきたいと思います。後は残念ながら(いや、そうでもないか)パスということで。

深津絵里はもともと好きな女優さんだし、「カバチタレ!」「恋ノチカラ」と続けて相性が良いので楽しみかな。放送日も日曜で毎回きちんと観られるというのも大きい。ただ問題はプロデューサーが「おとうさん」と同じだってこと。彼は雑誌のインタビューで今回のドラマについて「素晴らしいキャストに恵まれたので僕の得意なホームドラマで…」みたいなことを言っている。その自己規定は正しいのか?うーん…不安だ。

「ハコイリムスメ!」は多分つまんないんだろうけど、まあ深田恭子を観られるだけで僕的には全然オッケー、何の問題もありません。いやもしかしたら、打ち切りになる、ってことも考えられるから、それだけ気をつけてくれればいいや。

ちなみにもし他に「これは面白いから観ろ!」というものがありましたら、掲示板かメールにて御一報頂けるとありがたいです。